家づくりすごろく:STEP5ローン
だからシリーズvol.10:
「だから住宅ローンが安く見えたんだね」
提案された内容でなんとか支払えると思っていたのに、抜けが多くて想定と違ってきた。どこを見ておけばいいのかな?
長い住宅ローンだから、少しでも支払いを安くしたいと思っていたけど、初めてのことだからどうしたらいいのか分からなくて…。
実は、初めてにつけ込むのが営業マンです。
お客様は初めてだから分からないことだらけ。だからどうしても営業担当さんの提案が基準になってしまいます。この基準となる提案が”売れる住宅ローン”だったら要注意です。
解決は、”売れる住宅ローン”と”安心の住宅ローン”の違いを知っておくこと。
安く見せるのが”売れる住宅ローン”。でも、提案された時に安く感じても実際にローンを組むのはお客様です。本当にこれがベストの選択なのか?をしっかり検討するために必要なチェックポイントをまとめました。
分かれ道:住宅ローンこれでいいの?YES NO
我が家に合った”安心の住宅ローン”を考えるためにも、落とし穴ポイントをご紹介しますね。
この記事の目次
1”売れる住宅ローン”と”安心の住宅ローン”
2落とし穴①:金利
変動金利
提携金利
全期間固定
3落とし穴②:年数
40年ローン
80歳完済
4落とし穴③:保証料
分割
勤続年数
自営業
5落とし穴④:手数料
融資手数料
送金手数料
6落とし穴⑤:年収
手取りと総支給
8倍
7落とし穴⑥:収入合算
産休・育休
親と合算
8落とし穴⑦:生命保険
団体信用生命保険 うつ
特約(ガン・夫婦連生)
9正解はコレ
1”売れる住宅ローン”と”安心の住宅ローン”
まずは、こちらをご覧ください。

え?同じ3,800万円の住宅ローンなのに、毎月の支払いが最大約33,000円も違うの??
と思いますよね?
どれも、同じ3,800万円を借りる場合の計算です。
計算条件は、こちらです。
同じ金額なら少しでも安く借りたいし、支払額もおさえたいですよね。だから、
営業マンは、とにかく「安く見せる」住宅ローンの提案をしてきます。
これが「売れる住宅ローン」です。
よくあるやりとりをご覧ください。
※グレーの吹き出しは会話。ホワイトは心の中。
事務所にて、

だっただろ?
今月は大丈夫なのか?

がんばります!
今月はこのお客様で
契約をとります!!
気に入っている分譲地が
あるので、そこに
決めてもらいます!

ちょっとそのお客様の
提案資料見せてみろ。
・・・
ん?これ、なんで
こんなに金額高いんだ?

2人目もまだ小さいので
10年固定金利で
提案する案なので
支払いが少し高いんです。

そんなことしてるから
契約取れないんだよ。
変動金利でいいんだよ。
ほら、こんなに金額が
安くなるだろ?
この方がお客様も
安くていいだろ。

予算内に入りそうで
よかったです。。

安い金利での提案に
しておいてよかった。。
さすが先輩だ。
毎月の支払額が安い方が、お客様も購入へのハードルが下がってホッとされます。
それでは、カラクリを解説します。先ほどの事例に金利条件などを踏まえたこちらをご覧ください。

しかし、金利が安ければいいのでしょうか?
・奥様は今後退職予定
・ご主人の職業が自営業
・現在の年齢が46歳
・お給料に成果歩合のウエイトが多い
お客様の背景は様々です。それぞれ今後の生活を踏まえると一律に金利の安さだけを全面に出す住宅ローンの提案は、長い視点で考えると決して安全とは言えません。
・売れる住宅ローン→契約のとりやすい見せ方
・安心の住宅ローン→お客様別に合わせた提案
同じ住宅ローンでも、提案する人の考え方で組み方は全然変わってきます。
例えば、

今後、いつまで働けるか?いつまで今の会社で勤められるのか?を踏まえて考えると最大40年返済は無謀なだけです。それらも考慮して「月々11.3万円」をどう判断するのか?これが住宅ローンを組む上で考えておきたい重要なポイントです。
営業マン都合の、売れる住宅ローンに乗っかって家づくりを進めるのは実はとても危険です。
お客様のケース毎に、もっと地に足のついた安心の住宅ローンを考えることはとても大切です。
ここでは、売れるローンに隠された「落とし穴」を事例別に解説していきますね。
2落とし穴①:金利
金利は、毎月の支払額に一番影響するポイントです。金利でよくある落とし穴を解説します。
変動金利
これが金利の基本形です。
景気が良くなれば、金利は上がる。
景気が悪くなれば、金利は下がる。
だから「変動」するのです。
日本は、景気が悪い期間がずいぶんと長く続いています。だから変動金利が安いし、変動金利を選んでも相変わらず景気が悪いので金利が上がらない。こんな状況が続いています。
変動だから、将来上がったら怖い。
誰もが思う不安です。でも、上昇傾向に入ってきたら、きっと固定金利の商品に借り換えます。借り換える時に月々の支払いが高くなっても、その支払額は固定なので、変動のようなドキドキ不安はなくなりますから。
つまり、変動金利が怖い。と言う思い込みは意味がありません。
提携金利
住宅会社が銀行と提携した「特別金利」がこれにあたります。
「ウチはメインバンクの〇〇銀行と提携しているので、他社より住宅ローン金利が-0.1%安くなりますよ」
その住宅会社を選ぶ金利メリットです。
全て住宅会社や全ての銀行に、この提携金利がある訳ではありません。
でも提携金利があるだけで、その住宅会社に家づくりを頼むほどの強力な魅力もほとんどの場合ありません。後押しの材料の一つになると思います。
全期間固定
その名の通り、借りている期間の金利がずっと変わらない金利です。
以前は住宅金融公庫や、フラット35の商品などが「金利が変わらない」つまり、支払いが同じ。という安心感で人気がありましたが、変動金利との差が大きいシーズンになると人気がなくなります。
ただし、職業上
・給与が不安定(成果歩合ウエイト大)
・自営業者
の場合は、支払いが固定されることを重要視するケースもあります。
結論:金利の安さに、振り回されないように。
3落とし穴②:年数
40年ローン
以前は住宅ローンは最長35年でした。しかし昨今では40年や50年といった長い返済期間も出てきています。
まずはこちらをご覧ください。

お客様が感じた「毎月の返済がもう少し安かったらいいのに」に合わせて、ローンの期間を長くして毎月の金額を安く見せる住宅ローンの提案をしてきました。
金額が安いと感じられるほど、契約になるから”売れる住宅ローン”を使った事例です。

お客様が欲しい土地があと500万予算オーバー。頭金はもう出ないの言葉に合わせて、ローンの期間を長くして毎月の返済が同じ範囲でローンの上限を上げてきました。
頭金も増やさず・返済額も変わらないから契約になるので”売れる住宅ローン”を使った事例です。
つまり、住宅ローンの期間を長くするだけで、
・月々の支払額や安くなる。
・もっと多くの金額を借りられる。
ようになります。
これでもOKならいいですが、本来なら
・今の年齢
・今後の夫婦の働き方
・総返済額
など一度立ち止まって冷静に検討してからでも、決して遅くはありません。
80歳完済
通常、住宅ローンは80歳がエンドです。
今、52歳ならローンは28年までしか借りられない。
今、49歳ならローンは31年までしか借りられない。
という仕組みです。
売れる住宅ローンは、繰上げ返済をすればローンは早く終わる。のトークで「最長期間」で進めてきます。でも、実際に80歳まで雇用してくれる会社でしょうか?80歳まで今と同じ体力で勤務ができそうでしょうか?
現在の年齢が40歳以降なら、80歳完済で計算するのは非現実的です。
今買わないと買えなくなる。
この土地はもう出てこない。
契約を迫ってくる営業マンに振り回されずに、一度立ち止まって冷静に検討してからでも決して遅くはありません。
結論:ローンの返済期間は、実際イケル?と自問してみよう。
4落とし穴③:保証料
お金を借りる時に耳にするワード「保証人」。住宅ローンの場合はどうなるのでしょうか?
保証人とは、お金を返せなくなった時に、代わりに払ってくれる人のこと。
保証会社とは、お金を返せなくなった時に、代わりに払ってくれる会社のこと。
住宅ローンは、基本的に「保証会社」に保証料を払って、保証人になってもらう仕組みです。実際にお金を返せなくなったら、保証会社がいったん全額立替してくれますが、その後自宅の土地建物は取られて、売り飛ばされます。その代金でお金を穴埋めするようになります。
だから、保証人がいなくても住宅ローンを借りることはできます。
さて、問題の「保証料」です。
保証料は、
・保証料無料の住宅ローン
・保証料必要な住宅ローン
があります。無料な住宅ローンが利用できるなら諸費用を安くすることができますね。ただし、その分融資手数料が高いケースも(後述する落とし穴④:手数料を参考に)
分割
まずは、こちらをご覧ください。

3,800万円の住宅ローンを仮審査した結果、保証料が+0.2%の判定が出ました。
・現金前払いなら、176万円
・金利分割後払いなら、月々4200円
頭金を増やしてくださいと言いにくい営業マンは、売れる住宅ローンとして金利上乗せで計算します。
ここで怖いのは、保証料の話は触れてこないこと。
「お客様の審査結果によって保証料が変わるため、今計算していません。」
このスタンスだから、ある程度話が進んで初めて保証料の事が出てきます。最初は3800万円ローンを組んで毎月9.6万円の支払いと思っていたのに、結局保証料を合わせると毎月10万を超えることになってしまいます。
保証料は職種や勤務状況によって、変わります。だから毎月返済額をギリギリMAXで話を進めていくのはキケンです。
結論:保証料の存在を意識して、お金の話をしよう。
勤続年数
保証料が高くなる要素の一つに、「勤続年数」があります。
・転職したばかり
・新入社員
・転職回数が多い
この場合は、割高の判定が出ることが多いので心づもりをしておきましょう。
自営業
保証料が高くなる要素の一つに、「お勤め状況」があります。
・親族経営の会社で働いている
・一人社長
・個人事業主
・日払い職人
・過去3期の決算内容が不安定
この場合は、割高の判定が出ることが多いので心づもりをしておきましょう。
5落とし穴④:手数料
住宅ローンを選ぶときに、金利や返済期間が大きな要素ですが、ここもチェックしておきましょう。
融資手数料
住宅ローンを使う時に、1度だけ支払うものです。
・30,000円と税
・50,000円と税
・借入額の数%
大体この3パターンです。
借入額の2%の場合、3,800万円借りるとすると、836,000円と税になるので結構大きな金額になります。保証料が0円の住宅ローンの場合はこの手数料が高額の場合がほとんどです。
事務手数料など表現が違っても、同じものです。
保証料の総額と手数料を比較してお得な方で検討されるのがベターです。
なお、保証料はローンを早く完済したら一部返金がありますが、手数料の場合は戻ってこないケースがほとんどです。
送金手数料
住宅ローンは大きな金額を借りるので、やはり条件のいいところで選びたいですよね。その場合、注意点があります。こちらをご覧ください。

給料が振り込まれる銀行と、住宅ローンが引き落とされる銀行が違う場合は、このように毎月お金を移動させる必要があります。
毎月の事ですし、うっかり忘れて引き落としエラーが起きると「延滞」と判断されます。これが続くと一括返済!なんてことに。
そのリスクを回避するために、自動送金サービスもありますが、手数料が必要です。長いローンですから金額も積み重ねるともったいないです。
給与振込を変更できる勤務先なら安心ですが、NGなケースもありますので一度会社に相談してみましょう。
結論:メイン銀行が、2つになる想像をしてみよう。
6落とし穴⑤:年収
手取りと総支給
年収は、会社が支払う額面。
手取りは、実際に振り込まれる金額。
所得税がいくらで、住民税がいくらで・・そんな差し引かれる金額のことより、実際に手元に入るお金で生活をするので、住宅ローンをいくらまでなら無理なく返済できるか?の検討は「手取り」で行いますよね。
でも、借りる話は「年収」で計算します。
うーん。と思いますがルールなので仕方ありません。
住宅会社や銀行から提示される住宅ローンの返済額は、手取り収入に対して検討しましょう。
年収に対して返済比率が安心とかどーとか言われても仕方ありません。
結論:支払えるか?は手取りで考えよう。
8倍
何の数字?と思いますよね。住宅ローンをいくら借りることができるか?の目安です。
年収の8倍です。
住宅ローンがいくら借りられるのか?を算出するために、年収500万円なら4,000万円までOKという概算イメージをつかむためのもの。
こちらをご覧ください。
※グレーの吹き出しは会話。ホワイトは心の中。

どれくらいですか?


4,000万円が上限に
借りられると予想されますね。
年収の8倍ですから。

土地代込みで4,000で
計算しないとな。


自動車ローンが
ありますけど。

そうですか・・
それだと・・
よくあるやりとりです。
どれくらいの住宅ローンが借りられるのか?がわからないと土地代や建物に回せるお金がわかりません。だからこういう目安はよく使われます。

ここで注意して欲しいのは、「年収」が基準になっている事です。
手取り収入ではないので、返済比率31.8%とは年収500万円に対する割合なので、仮に手取り400万円で計算すると、返済比率33.8%です。
手取りの3分の1は住宅ローンの返済です。
ここに自動車ローンの支払いも加えると・・・(汗)
このお客様は、4,000万円借りてはいけない方です。
でも、このジャッジを営業マンはしてくれません。ここが怖いのです。
結論:目安は年収。検討するのは手取り。
7落とし穴⑥:収入合算
収入合算とは、ご主人の年収だけでは希望の住宅ローン金額を借りられない時に、奥さんの年収を合わせて世帯年収を増やすこと。
こちらをご覧ください。

夫婦二人で頑張って住宅ローンを払っていこうね。が収入合算の理想形です。
ここでは、収入合算を考えるときに注意するポイントをご紹介します。
産休・育休
まずは、こちらをご覧ください。

ご夫婦の収入合算で住宅ローンを支払いはじめました。ところが翌年お子さんの出産に伴い、奥さまが「産休」になりました。まあ今年は頑張ろう!と思っていたら、その翌年2人目も授かり、産休期間がさらに続きます。
でも、収入が減った状態でも、住宅ローンの支払額は変わりません。
だからこそ、夫婦の収入合算は二人の年収MAXで計算するのは危険です。
結論:奥さまの年収が減った時を考えて、住宅ローンを検討しよう。
親と合算
収入合算は、一緒に住む配偶者以外の方も可能です。
ご主人の年収だけでは希望の住宅ローン金額を借りられない時に、奥さんの年収を合わせて世帯年収を増やすこと。
まずは、こちらをご覧ください。

おいくらですか?

妻は、専業主婦です。

ご主人お一人だと
年収の8倍と考えて
3,200万円が
住宅ローンで借りられる
目安になります。
これだと土地建物の合計には
ちょっと足りません。
どなたか収入合算できる方は
いませんか?
両親様など。

一緒には住まないけど
親の収入も
合わせてもいいの?
このケースのように、奥様がお勤めされていない場合はご主人お一人で借りられる住宅ローンが少し不足する場合があります。
同居予定がない両親との収入合算は、銀行によってOKな場合もあります。
銀行によってNGの場合は、ご両親と同居なら収入合算も可能です。二世帯住宅はその典型ですね。
この場合の注意点は、
「自分の稼ぎで、払えるか?」
です。
借りることができる金額が増えても、支払うのは自分です。支払いまで助けてくれる両親ならOKですが、「合算するだけ」なら手取りが増えるわけではありません。
営業マンは、合算して年収を上げて、多くの住宅ローンを借りてもらおうと必死です。契約に持ち込むには必要なことです。でも家が欲しくても、支払えない金額を借りるのはキケンです。
一旦、両親と合算してローンを組む。その後育児が落ち着いたら奥様もお勤めを始めて二人で支払う。よくある計画ですが、もう一歩踏み込んで考えておきましょう。
・いつから復帰するのか?
・復帰後の所得はいくらを予想するのか?
しっかり家族会議をしておきましょう。
結論:借りた金額が本当に払えるのか?考えてみよう。
8落とし穴⑦:生命保険
住宅ローンを組む時に、生命保険に入るようになります。基本的に「強制加入」だと思ってください。それは、万一死亡した場合に、残ったローンをご家族が返せなくなるのを防ぐため住宅ローンの残額を帳消しにできる仕組みです。
だから、住宅ローンを申し込む(契約)する段階で、生命保険に加入できるかを必ず審査されます。
この生命保険を、団信(だんしん)と呼びます。正式には団体信用生命保険です。
団信に入れない
実は、団信に入りたくても入れないケースがあります。
うつ病・糖尿病・心臓の病気など。
いわゆる「持病」をお持ちの場合は、早い段階で住宅ローンの生命保険に加入ができるかを確認しましょう。
その上で、加入不可。の場合は、生命保険に加入しなくてもOKの住宅ローンを選ぶようになります。加入できないから家が建てられない訳ではないので安心しくてください。
結論:持病があるなら、早めに団信OKなのか確認しよう。
特約(ガン・夫婦連生)
団信も生命保険ですから、いろんな特約をつけて範囲を広げることが可能です。
・死亡の条件にガンも加えたい。
・夫婦片方に万一の時にも全額帳消しにしたい。
いろんな特約がありますが、特に多いご質問はこの2つです。
死亡の条件にガンも加えたい場合
普通に死亡した場合は、ローンが帳消しになるけど、ガンになっただけではローンは支払う。これが通常の住宅ローンの団信です。つまり、ガンになって治療中でもローンの支払いは続くのです。これはなかなか過酷ですよね。そこで、「ガン」と診断された時からローンが帳消しになる特約が、いわゆるガン特約です。
このような特約が無料の場合もあれば、保険料がアップする場合もあるので、利用する住宅ローンの確認をしましょう。
夫婦片方に万一の時にも全額帳消しにしたい
夫婦連生(ふうふれんせい)・デュエット保険とも呼びますが、イメージはこんな感じです。

通常は、持分に応じた住宅ローン負担分が残りますが夫婦連生保険なら、全額帳消しになります。片親になっても、今後も生活を支えていかなくてはいけませんから、ローンが残るよりはゼロになる方が安心できます。この場合は、生命保険料がアップしますのでよくよく検討してくださいね。
結論:営業マンは提案してくれない夫婦連生保険も知っておこう。
9正解はコレ
家を売りやすくするには、安く見せるほうがいいのです。だから”売れる住宅ローン”は、安く見えるようになっています。しかし長い期間支払っていく住宅ローンだから、”安心の住宅ローン”をしっかり勉強しておきましょう。
